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『ポプテピピック』は面白い

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ポプテピピック』というアニメが巷で流行っているみたいですね。春からの仕事の関係上、ヒットした映画やアニメは触りだけでもチェックしておくようにしているのですが、このアニメは非常に面白いと思います。ビジネスサイドとクリエイティブサイドの双方に「何か新しいことをしてやろう」という気概を感じます。

 

テレビシリーズのアニメにおいて、第一話で何か突飛なことをして話題性を高めるという戦略は、時代を遡れば『涼宮ハルヒの憂鬱』から、最近では『おそ松さん』など、これまで数多くのアニメで採用されてきた手法なので、これ自体は特に新しいことではありません。ポプテピピックが持つ他にない新規性とは、同じキャラクターに複数の異なるキャストを当てているという点だと思います。最近では声優個人のファンも増え、いわゆる声優ネタというものも散見されるようになってきました。しかしながら、ポプテピピックのように毎週違う声優、それも大御所声優を含めてキャスティングを行うという思い切ったことをしたアニメは、これまでには無かったのではないでしょうか。

 

その理由は簡単で、そんなことをすれば声優へのギャランティーが制作費を圧迫して、アニメーションとしてのクオリティを確保できなくなるからです。そこで、ポプテピピックではどうしたか。ご存知の通り、作画にかけるコストを抑えるため、30分アニメのAパートとBパートで全く同じ内容のアニメーションを放送した訳ですね。そもそも、ポプテピピックはそれほどハイクオリティの作画が求められるような作品ではなかった、というのもあるでしょう。もう一点、このような大胆な企画が通ったのは、キングレコードの一社製作だったからではないのかな、と予想します。もし製作委員会方式を採っていたら、こんな企画にはどこかしらの出資企業がケチをつけたのではないかと、そう思う訳です。何にせよ、「どこに金をかけたらより大きなリターンが見込めるか」という選択と集中の視点に基づいた緻密な戦略によって作られた、非常に巧いアニメだと思います。アニメビジネスというものは、ここまでやっても最後の最後は賭けになってしまうのですが、ホームランを狙って空振り覚悟でフルスイングする姿勢は、見習いたいなあと思いますね。